プロローグ -Prologue-

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      彼の所属する王立アカデミーは、王国の未来を担う若者、エリートを養成するために設立された、最高学府である。  優秀な若者は国の未来、という理念こそ崇高だが、その真相はというと。  即位当時六歳であった現国王が、 『じい、学校ごっこがしたいぞ!』 『我が学長だ!』 『決めたのだ、国中から優れた子供達を集めるように!』  ……などと、ひたすら駄々を垂れ流したゆえの産物であった。  だがしかし、適当な理屈で国王が通う学校など設立できる目処は立たず、かといって国王の意向を無視する訳にもゆかず。  当時、摂政宮を務めていた人物が、あーでもないこーでもないとひたすら企画をこねくり回し。  王侯貴族と元老院等々のお叱りを散々に受け、胃に穴を穿ちつつ。  なんとか設立にこぎ着けたとかいう、涙無しには語れない様々な逸話が残されていたりするのだ。  
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