The last bullet

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アリエッタ「ねぇ……ねぇ、やっぱり怖いよ。こんなこと、したくない」 金糸雀「そうだね、悲しいことだ。しかし僕らは生存戦争をしなくてはならないんだ。あの生真面目な顔をした優しい先生から、僕らは銃をもらったんだ」 ユズキ「ハァ!? あいつが生真面目で優しいだと!?アイツはヤブ医者だ!ペテン師だ!!いっつもあんな偉そうなことを言いながらなんもしちゃあくれねぇんだからよ!」 アリエッタ「え……そんなことないの。先生はとっても賢い人よ。いつもアリエッタにいろんなことを教えてくれるんだから」 ユズキ「その生真面目で優しくて賢いセンセイは結局俺たちになにをくれた!?銃と弾を一つずつだ!殺し合わせるつもりなんだ!」 雪「そういうの。得意なんじゃないの、君」 ユズキ「雪……テメェ、最近見ないと思ったら……どこにいやがった」 雪「どこでもないよ。どうせわたしたち、ここからは出られないんだから。ねぇ金糸雀」 金糸雀「あぁ、そうだね。二つの瞳はこんなに小さく、世界はあんなに広く、しかし僕らはこんなに小さな瞳で全てを見れるはずなのに、ここから出られない……」 雪「いい言葉だね」 金糸雀「ありがとう。あなたに褒められるのは嬉しいね」 アリエッタ「……ねぇ」 金糸雀「どうしたんだい」 アリエッタ「あの……ね、アリエッタはね、この銃を使ってここの誰かを殺すくらいなら、アリエッタはアリエッタを殺すわ」 ユズキ「おいおい、アリエッタ」 アリエッタ「そう……そうよ、アリエッタはアリエッタを殺すわ。それも一等最初に殺す。アリエッタは誰かが死ぬところをもう見たくないから」 雪「スカートの裾を握りしめるのはおやめなさい。シワになるよ。せっかく似合っているんだから」 アリエッタ「ううん、似合ってないわ。知ってる。アリエッタは、ちゃんと知ってるの。ここで一番『要らない』のはアリエッタなの」 雪「そうかい。わたしは決して否定はしないけど、でもわたしは君がとても好きなんだとだけ言っとくよ」 アリエッタ「……ありがとう、雪。アリエッタも雪のこと、好きよ。アリエッタにいつも優しくしてくれてありがとうね」
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