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金糸雀「アリエッタ」
アリエッタ「金糸雀、らしくないわ、消える者を惜しむなんて」
金糸雀「……ああ、そうだね」
アリエッタ「仕方のないことよ……仕方のないことよ。ねぇ、金糸雀、いつか会えたら、またあなたの詩を聞かせてちょうだいね。次は春の詩がいいな」
金糸雀「オーケイ。とびっきりうつくしい詩をアリエッタにあげる」
アリエッタ「ありがとう。アリエッタね、しあわせよ」
ユズキ「おい待てよ!全員してアリエッタをこのまま殺すっていうのか!?」
アリエッタ「ユズキ、みんな優しいから、止められないだけよ。ああ、勘違いしないで。ユズキも優しいから、アリエッタのことを止めてくれるのよ」
ユズキ「アリエッタ!!」
アリエッタ「アリエッタは知ってるの。ユズキはとっても優しいもの。暴力に走ることもあるけれど……でも、ユズキはアリエッタのことを馬鹿にしたりしないから。こころがあったかい人なのよ、ユズキは」
ユズキ「今はそんなことどうだっていいだろ!? おい、待てって!」
アリエッタ「いいの。ばいばい。みんな、出来たら仲良くしてね。アリエッタは大丈夫、この引き金を引けば、全てが終わるんだから……」
(銃声)
ユズキ「……おい」
金糸雀「……なんだい」
ユズキ「金糸雀、お前じゃあない。アリエッタ、アリエッタ!返事をしろよ!アリエッタ!」
金糸雀「おやめよ、ユズキ。アリエッタはもう引き金を引いたんだろう」
ユズキ「うるせぇ!なんてったってアリエッタがいなくならなきゃいけなかったんだ!」
金糸雀「みんないなくならなきゃいけないからだろう。最初があの子だったってだけさ」
ユズキ「そうだけど……そうだけどよ……おかしいだろ、アリエッタがいなくなるなんて……」
雪「あの子、みんなの妹だったからね、そういう気持ちになるのはよくわかるよ、ユズキ」
ユズキ「うるせぇ、黙れ」
雪「おや、嫌われちゃったようだ」
金糸雀「さて、次は僕が行こうかな」
ユズキ「はぁ!?」
金糸雀「アリエッタは必要か不必要かの天秤に自分を乗せて、不必要だと判断したのさ」
雪「うん、そうだね」
金糸雀「こう言っては何だけど……確かに、アリエッタは要らない子だっただろう。いや、とてもいい子だったさ。しかし、社会に適応出来るかと聞かれれば……どうしても、無理があっただろう。その事が分かってたから、あの子は自分から行ったんだ」
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