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ユズキ「でも、おい、待てよ。まずこんなことがおかしいって!なんでみんないなくならなきゃいけないんだよ!おかしいだろ!」
金糸雀「そうかな?僕らは全部おかしいモノなのさ。いいかい、おかしいモノなんだよ。僕らのことをおかしくないなんて言う人はいない。……おかしいだろう、どう考えたって」
ユズキ「……そんなこと、言うなよ……じゃあ俺たち、なんのために生まれたっていうんだよ……」
金糸雀「さぁね。こうやって死ぬためだったりして」
ユズキ「……じゃあ、金糸雀、お前は待て。俺から行くから」
金糸雀「……なに言ってるんだい」
ユズキ「金糸雀がここに残れ」
金糸雀「やだね。僕はこれ以上生きたくなんかないんだ。ここで都合の良いさようならを貰ってやる。引き金を引いてぜんぶ終わらせてやるんだ。ユズキ、自分の都合の良いように考えるな。僕は僕のために死んでやるんだ」
ユズキ「ちっげぇよ。俺だって別にあんたのために言ってる訳じゃないんだ。俺は雪に勝てないんだ。だからお前に頼みたいんだよ」
雪「おや、わたし?」
ユズキ「俺はお前のことが大嫌いだから、残るならせめて金糸雀がいい」
金糸雀「なに言ってるんだい。ユズキが残ればいいだろう」
ユズキ「俺じゃ駄目だ。分かってるだろう、金糸雀も、雪も」
雪「……そうだねぇ。一番ユズキが『似合わない』かな」
ユズキ「……それに俺は俺が生きていくことを許さない。絶対に。絶対に許さない」
雪「そう……。随分と悲しいことを言うね」
ユズキ「銃と弾を最初にもらったのはアリエッタだった。本当は俺だった。俺だったはずなんだ。先生のところに行くのが嫌だったから、アリエッタに頼んだんだ。そうしたら、アリエッタがもらうハメになっちまった」
金糸雀「……アリエッタは、大丈夫だって、言ってたけど」
ユズキ「アリエッタが大丈夫じゃないって言ったこと、あるか」
金糸雀「そうだね。すまない」
ユズキ「つまり俺も都合の良いさようならをここでもらうってことだ。ははは!」
雪「ユズキ」
ユズキ「なんだよ」
雪「わたしはね。君が何と言おうと君のことが好きなんだよ。ねぇ金糸雀?」
金糸雀「そうだね。君が何と言おうとね」
ユズキ「……んだよ、気色わりぃ。死ぬ前だからって構わなくてもいいんだ。俺は俺の好きなように死ぬだけなんだ」
金糸雀「知ってるさ」
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