The last bullet

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雪「……アリエッタが死んで、わたしたち、どうしようか?」 アリエッタ「もう死ぬしかないじゃなくて?ああ、いいわねあなたは!あたしにはなんにもないって言うのに!銃弾ひとつ、思い出ひとつ、なんにも持ってないって言うのに!その引き金を引いて、あなたは全ておしまいにしなさいよ!」 雪「ねぇアリエッタ。ねぇ、アリエッタ」 アリエッタ「……なに」 雪「アリエッタ、あなたにあげれるものがある。ねぇ、欲しい?」 アリエッタ「……ちょうだい」 雪「銃弾をひとつずつ」 アリエッタ「……くれるって言うの?」 雪「あなたにあげれるものはもうひとつある。何十年分の思い出だ」 アリエッタ「嘘をつくようなら、あたし、」 雪「嘘じゃあない。アリエッタがこれから生きていけば、ねぇ、すべてアリエッタのものだよ。その代わり、アリエッタには銃弾はあげれない」 アリエッタ「雪……やめて、雪」 雪「この引き金を引けばすべてが終わる。上手いことを言ったものだ。この引き金を引けば、わたしの飽き性もアリエッタの飢えも終わるんだ」 アリエッタ「やめてったら!!」 雪「わたしが死ぬだけだよ」 アリエッタ「いや!いやだってば!!」 雪「……アリエッタ」 アリエッタ「もういや!どうして死ななくちゃいけないの!?あたしもアリエッタもユズキも金糸雀も雪も悪いことしてないわ!」 雪「悪いことはしてない。けれどねわたしたちはね、異分子なんだ。がん細胞は駆除するしかない。わたしたちはがん細胞だよ」 アリエッタ「そんなわけないッ!」 雪「がん細胞は自分たちが異常だってわからないんだよ。だからがん細胞になってしまう。ねぇ、アリエッタ、よく聞いて。哀しいことなんて何一つない。アリエッタが明日から自分の意思で歩いて、自分の手で誰かと手を繋ぐ。素晴らしいことだろう?」 アリエッタ「でも……でも、」 雪「わたしはね。数十年生きた人間としてキャラ付けされた。生きた、充分生きた。友人もいるよ。わたしの記憶だけ、なんだけど。でもそれって別に構わないことだよ」 アリエッタ「あたしに、生きろって、言うの……?」 雪「ああ、そうだよ。ずっとはじっこで君はぜんぶ聞いていたんだろう?アリエッタは譲った、ユズキは復讐した、金糸雀は詩人になった。生きたいのは、君だけ、だから……」 アリエッタ「雪は、生きたくないの?」
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