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「本当にお前は千尋以外の前だと性格がかわるな。」
『いいから仕事してください。あ、ほら、Aゲートに千尋さまですよ。』
「さすがだ、監視は続けろ。」
やはり佐倉をつれてきて正解だ。
俺から約数十メートルの距離に千尋がいる。
側には、理事長の秘書が控えているがちゃんと出し抜け得るだろうか。
人が溢れかえったブース内、久しぶりに見た千尋はなぜか晴れ晴れしい顔をしている。少し髪が伸びたのか、襟足が肩に付いている。すれ違う人たち全員が、千尋やその周囲の人間に釘付けになっていた。
今すぐにでも触れたい気持ちをおさえ、息を殺して背後から近づく。
『そのまま背後についていてください、あと三メートルで千尋さまを右のスタッフ専用通路に誘導してください。絶対に沼田さんに気づかせないでくださいよ。』
「了解だ、任せろ。」
千尋の右後ろに張り付き、タイミングを伺う。
下手な動きをすると鉄仮面秘書に返り討ちにされてしまう可能性が高い。
こんなストーカーまがいな行動、後にも先にも今日だけだろう。
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