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広い寮の入口を出て徒歩10分の位置に僕が所属する高校がある。靴を履き替えた僕の足は迷うことなく、5階にある生徒会室へ向かった。
生徒会室の鍵を開けると室内の紙の匂いと溜まった空気で重苦しく感じた。
「換気をしないと……」
舞ってしまいそうな書類の上に重りを置いて会長席の後ろにある大きな窓を開ける。ふわっと入り込んできた外の空気を肺いっぱいに吸い込むと、僕は深く深呼吸をした。
それから自席について昨日、会計が積み残した書類の処理に取り掛かる。
「なんだ、もう来てたのか。」
「おはようございます、会長。」
「あぁ、コーヒー。」
30分くらい経った頃、眠そうに目を擦る会長がやって来た。来て早々にコーヒーを注文され給湯室に向かう。砂糖1杯半、それが会長のコーヒー。
会長専用のカップにコーヒーを注ぎテーブルに置くと、「ほら」とクッキーを渡された。
「ありがとうございます。」
ぺこっと礼をして自席に戻る。
時計の針は8時10分を指そうとしていた。
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