くろ

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「またお主は耳障りのいいことを言って女を連れ込んで」 黒猫がのびをする。 「人聞き悪いなあ。お前のために連れてきてんのに」 こいつが隙間の守り猫。 夢の一部を食べているらしい。何度聞いても人間には理解出来ない仕組み。 ここはラブホテル。黒が基調の男っぽい部屋にした。 彼女は二十代半ばかな。淡々と進めたほうが良いみたい。俺にシャワー勧めて、次にさっさと浴室に。そういうとこ好み。 こいつが現れたってことは俺はお預けでこいつの食事が先か。 まじか。 「もう少し後でも良かったのに」 「ああそうか、お主は早く済むのだったな」 「違うわ!こう、めくるめくなんちゃらの気絶した後でとか」 「お主にそんなに技術があるとは今まで一度も……」 人 の 股 間 を 見 る ん じ ゃ な い 「こんな能力、役にたたないっつーの」 「そうでもないぞ。代々の依代は活躍した。占い師、忍者……最近もおったな、有名な芸能人の」 「え?誰?」 「売れっ子ゴーストライター」 「知らねーよ」 「あとは犯罪者」 黒猫の目が光った。 「お主が退屈しておるのなら、過去の依代の見た世界を見せてやろうか」 強制的な眠りの導入。 これ、いつもあいつが使う術だ。 瞼が、下がる。 待っ…… 声にならない。眠りが落ちてくる。 意識を断罪するギロチンのように 俺の断末魔の思念は、 「せめてパンツ……」 断ち切られた。
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