12人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「またお主は耳障りのいいことを言って女を連れ込んで」
黒猫がのびをする。
「人聞き悪いなあ。お前のために連れてきてんのに」
こいつが隙間の守り猫。
夢の一部を食べているらしい。何度聞いても人間には理解出来ない仕組み。
ここはラブホテル。黒が基調の男っぽい部屋にした。
彼女は二十代半ばかな。淡々と進めたほうが良いみたい。俺にシャワー勧めて、次にさっさと浴室に。そういうとこ好み。
こいつが現れたってことは俺はお預けでこいつの食事が先か。
まじか。
「もう少し後でも良かったのに」
「ああそうか、お主は早く済むのだったな」
「違うわ!こう、めくるめくなんちゃらの気絶した後でとか」
「お主にそんなに技術があるとは今まで一度も……」
人 の 股 間 を 見 る ん じ ゃ な い
「こんな能力、役にたたないっつーの」
「そうでもないぞ。代々の依代は活躍した。占い師、忍者……最近もおったな、有名な芸能人の」
「え?誰?」
「売れっ子ゴーストライター」
「知らねーよ」
「あとは犯罪者」
黒猫の目が光った。
「お主が退屈しておるのなら、過去の依代の見た世界を見せてやろうか」
強制的な眠りの導入。
これ、いつもあいつが使う術だ。
瞼が、下がる。
待っ……
声にならない。眠りが落ちてくる。
意識を断罪するギロチンのように
俺の断末魔の思念は、
「せめてパンツ……」
断ち切られた。
最初のコメントを投稿しよう!