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これは、僕とミケコっていう猫の話。
ミケコは近所のおばあちゃんが飼っていた三毛猫。産まれてすぐの頃、妹を連れて見に行った。
あまり人には懐かない猫だったけど、どういうわけか僕には摺りよってきた。
だから何だか愛着もあって、見かけたら構ってあげていた。
でも、僕が中学生になる頃、ミケコは車に轢かれてこの世を去った。
それを聞いた時は凄く悲しかったけど、それもやがて記憶に埋もれて忘れ去ってしまった。
そうして、十年が過ぎた。
僕も大人になり、都会で一人暮らしをしていた。
あの頃の僕は、何もかもがうまくいかなくて悩んでいた。そんなある日、ベランダに猫が来るようになった。
僕が住んでいたのはアパートの一階。他の部屋で飼われている猫かな?って思った。
だって野良猫にしては綺麗な毛並みの三毛猫だったから。
いつまでもにゃあにゃあ鳴いているから、部屋に入れてやった。
三毛猫は、嬉しそうに僕の顔を見て、もう一度、にゃあと鳴いた。
その日から、その三毛猫はうちの飼い猫になった。だって、窓や玄関ドアを開けっ放しにしても外に行かないんだ。
僕も猫は嫌いじゃないし、無理に追い払うほどでもないから、そのまま同居することにした。猫のいる生活は、僕に安らぎをもたらした。その頃から、仕事にもようやく慣れてきて、なんとかやっていけるようになった。
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