私は私がわからない

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「葉子、どうしたの? ボーっとして。」 おっと、今は部活中だ。 物思いにふけっている場合ではない。 私は美術部だ。 早紀も。 ちなみに早紀は副部長。 美術部部長は二年生で唯一の男子である久城俊樹だ。 彼は見た目はスポーツ万能そうだが実は全然できない、むしろインドア派の男子だ。 けど、別に引きこもりとかでもなく結構かっこいい。 しかも面白いし優しいから私は…… 「あ、葉子今何考えてたの?」 「ふぇ!いやいや何でもないよ。」 自分でもわかるくらい顔が赤くなっていた。 いけないいけない、今は部活中。 集中しないと。 「どうせあの人のこと考えてたんだろうけど。」 早紀が笑いながら言ってくる。 早紀は私が俊樹君のことが好きなことを知っている。 別に教えたわけではなかったのだが近くに居ると見え見えらしい。 そんなにわかりやすいかな……。 ちなみに彼女の報告によると彼は鈍感だから気付いていないらしい。 また、彼の彼女はおらず今が告白するチャンスだとかなんだとか・・・・・・。 あーっ、集中、集中。 「あ、もうそろそろ下校時刻だから片付けて。」 あれ? もう? 今日も全然進めることはできなかったようだ。 「葉子、全然進んでないじゃん。頭の中で妄想にふけっているのはいいけどちゃんと手も動かしてよ。」 「もっ妄想って・・・・・・そんなんじゃ。」 「はいはい、さっさと片付けな。」 私はちょっとほっぺたを膨らませながら道具を片付けに行く。 その間、筆を洗いながら、早紀は俊樹君と話していた。 彼らは前述したとおり部長と副部長なので当たり前だが部活のことでよく話す。 それはわかる。 けど、なんか話すぎる気が・・・・・。 ほら今だって笑ってるし。・・・・・・。 これが嫉妬というやつか。 あー親友を疑うなんて最低。さっさと片付け済ませて、私も話に加わろう。 ふと外を見ると、いつの間にか雨が降っていた。
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