0002 山梨 ナナ

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カクテル世界の進入に、よくエイリやんをオペレーターにしていたの。 オペレーター役は、小説でいう三人称の目線。 三人称は神様目線という意味が当てはまり、カクテルの世界を全て見通せる、言わば『千里眼』。 カクテル世界に入って、スマホでそのオペレーターに指示し、物質を持ち込むことも可能。 富豪にだってなれるし、粒よりのイケメン達と逆ハーレムだって出来ちゃうわ。 でも、あたしの目的はプロ作家。 自分のチカラだけで小説家になりたいから、現実世界でお金持ちの娘っていう人生をリセットする為、カクテル世界に貧乏娘として生活し、勉強しているの。 一般人の逆パターンね。 たまに訳が分からなくなるわ。 現実世界に戻ると、エイリやんっていう宇宙人もどきが何でも言うことをきいてくれるの。 エイリやんが小指で電柱をひと突きすると、コンクリートに穴が空くほど怪力。 それにエイリやんは普通の女の子らしくない。 人前で平気な顔して鼻クソほじくるから、はしたないからやめなさい! っていつも注意してるわ。 ◆ そんなエイリやんとの生活も現実世界で4年が過ぎた。 たまーによ、不定期でカクテル世界に入れるあたし達にはカチカチという振動の他に、重要な通知が来るの。 これまで不可能とされてきた、カクテル世界から物質を持ち帰り出来る人が1人だけ居るという伝説が報じられたの。 本来カクテル世界に進入すると、自転車の乗り方は得られるけど、自転車そのものは現実世界に持ち帰り不可。 自転車でも小石でも宇宙船でも現金でも物質を持ち帰ることは無理。 カクテル世界の脳内活動で、夢という例えは間違い。だけど、物質の持ち帰りは夢のまた夢。 伝説の能力者。 その人が私のスマホ小説のファンで、今、BARのカウンターの隣に座る栄治さん。 栄治さんは、不可能を可能にする能力者。 思わず結婚を申し出たわ。初対面なのに。 伝説の能力者が誕生した通知はカクテル能力者全てに伝わる。 出会い系喫茶であたしは栄治さん、エイリやんは『牙道』と言う男性とそれぞれデート中。 エイリやんがもう直ぐこのBARに到着すると連絡があったわ。 エイリやんの見た目はモデル級。顔もかわいい。 宇宙人の例えじゃないけど、色んな意味で人間離れした子よ。
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