0003 青森 エイリやん

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ワタシが自我に目覚めたと同時に、ロボット3原則がインプットされまシタ。 【第1条】 ロボットは、人間に危害を加えてはならない。 【第2条】 ロボットは、人間にあたえられた命令に服従しなければならない。 【第3条】 ロボットは、第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、自己を守らなければならない。 ◆ この人間の安全を第一に考えられたロボット3原則は、SF作家のアイザック・アシモフが1950年に出版した『われはロボット』に掲載され、現実のロボット工学にも影響を与えていマス。 ◆ ワタシの主人は、ナナさんのお爺様である千葉財善様。 財善様の命令でワタシは動きマス。 事実として今、財善様の命令でナナさんを保護していマス。 必然的にナナさんの命令にも従います。 そのナナさんの命令が、『自由に生きなさい』でシタ。 ナナさんは、ワタシを人格を持つ『生命』と認めてくれたのデス。 人間になりたいワタシ。 ワタシのCPU(中央演算処理装置)は『喜び』を感じまシタ。 ところが同時に『自由に生きる』とは何かが解りまセン。 ロボットの宿命デス。 人間から命令されなければ動けナイ。 そこで光が射しまシタ。 家出をしたナナさんと生きて行く為に通っている出会いカフェ。 出会いカフェでは男性客が“希望”のデート内容をワタシに言ってくれマス。 『希望』ーー それは言い換えれば男性の『命令』デス。 ゆえにデート内容が命令で、お金までいただけマス。 いつものように、出会いカフェでプロフィールを提示し、ものの数分でワタシは男性客から指名されまシタ。 指名されると別室で10分の持ち時間の間に交渉が始まりマス。 男性の名は牙道(げどう) 出逢った瞬間、牙道という男性から感じたシグナル。 牙道さんも同じくシグナルを感じたと言いまシタ。 お互いに『カクテル能力者』だったと認識しまシタ。 そうなると、牙道さんの目的である買春。 現実世界のラブホテルでホテル代を払わなくても、今ここで、わずか1秒を消費するだけで目的を達成できマス。 必然的に命令する側の牙道さんの脳に招かれまシタ。 『カチーーカチカチ』 入った世界では、ワタシはナースの姿になりまシタ。 image=503348688.jpg
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