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ワタシは牙道さんとシンクロしまシタ。
人間のオスとの融合。
激しい抑揚(よくよう)。
起動開始から初めて感じたメカの快楽。
電気信号は他人の脳内活動なのにワタシのCPUと融合し、激しく躍動しまシタ。
人間の関節の可動域を超えた体位や窒息プレー。
人間のメスなら呼吸が出来ずに苦しみマス。
でもワタシはメカ。酸素を必要としまセン。
牙道さんの命令はエスカレートし、生身のメスでは不可能な技の数々を展開。
すっかりワタシは牙道さんの虜(とりこ)となりまシタ。
◆
『カチーーカチカチ』
現実世界の出会いカフェに戻ったワタシと牙道さん。
この出会いカフェの交渉室で与えられた時間10分。残り時間は8分もありマス。
「お前、凄いな!」
「お気に召されて光栄デス」
「俺はカクテル世界でよく相乗りするが、ロボットは初めてだ……お、通知が来た」
通知はカクテル能力者全員に一斉送信されるためワタシにも来まシタ。
驚きまシタ。
これまでカクテル世界の中から物質の持ち帰りは不可能というルールが存在していまシタが、それを覆す能力者が現れまシタ。
名前は栄治。
続けてカクテルルールの規制緩和がなされまシタ。
ルール改定速報。
カクテル世界で得た物を現実世界に持ち帰る方法。
【ルール・持ち帰り法】
①現実世界で栄治とカクテル世界に入る相乗り(グループ)が必須。
②相乗りの際、オペレーターを1人以上立てよ。
③持ち帰り可能な物質の条件は、カクテル世界で相乗り中の人が得た物に限り、奪うことが可能。
※ただし、奪うという表現は戦略的な意味があり、オペレーターの『同意』が必須。
・これにより複数人の相乗りから物々交換が予想される。
しかし相乗りユニット1つから持ち帰り可能な物質はオペレーター1人につき1つまで。
④帰還の際、オペレーターの同意が必要。
ーー以上。
◆
そんな! 奪い合いの戦いなのに、オペレーターからの同意を得るなんて矛盾しマス。
しかも複数人の相乗りから持ちち帰るなんて、『仲間』と同時に『敵』デス。
「おもしれェ、GPSに表示された栄治とやらが居る場所は、俺の知るBARだ。エイリやん、今からBARに行くぞ!」
ワタシと牙道さんは栄治さんの居るBARに向かいマス。
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