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土日と違って平日の昼に出会い系喫茶に来れる男性客は少ない。
会社を設立する期間は、将来社長になるとはいえ無職と変わらないから自由。
出会いカフェに来たとき、店員からプロフィールを書いてくださいと頼まれた。
今日は今から逆指名イベントという。
俺は自分のプロフィール覧に名前『栄治』職業はフライングして『社長』今の気分は『あげポョ』と書いた。
まあウソではないから心も痛まない。
この店は女の子の選りすぐりが厳しく、ババアやブスはほとんどいない。
しかし日本はどうかしている。
平日の昼間に20人弱の女の子が集まるんだもんね。それも可愛い子ばっか。
逆指名なんか当てにしてなかったけど、テレビやネットを含むこれまでの47年間生きてきた人生で見た美しい女の子の数々。
その中でもナナは5本の指に入る。
店員の案内により、別の部屋でナナとの交渉が始まった。
「初めまして、栄治(えいじ)と申します」
「ネギモバさんでしょ?」
ーー何ぃ!?
ネギモバという名は、俺がスマホ小説で投稿しているペンネームだ!
友達にしか教えてないのに、なぜこのナナが知っている?
「なんで俺のペンネームを知ってるの?」
「あなたは私の書いているスマホ小説『人類再生計画』に感想をくれたから調べたの」
「あ! ……人類再生計画」
俺は人類再生計画というスマホ小説、その作者のペンネームである『7』にレビューとサイトのミニメールという機能を使って熱烈な感想文を送ったことがある。
SNS型スマホ小説サイトだったから、本来禁止の携帯メアドを暗号化して添付送信したんだ。
『7』は女だったのか!
でもなぜ出会い系喫茶に俺が居ると分かった?
暗号を解いたのにメールの返信もなく、なぜ俺に直に会いに来れた?
「ナナちゃん、どうやって俺の居場所が分かったんですか?」
「今からBAR ~lady~ に来てくれたら教えてあげます。どう?」
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