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BARへのデートは断る理由もない。
疑問も解きたいし、何よりも、ナナは可愛い!!
肌は真珠がトロけるようなツルツルとした透明感。
瞳が大きく鼻は横から見た滑り台のようで、甘そうな唇。
華奢(きゃしゃ)な腕と脚なのに丁度良い胸。
スリムなお人形さんみたいだ。
BARはここから近いが、夏の昼間ということもあって、肌を日焼けしたくないと言うナナの為にタクシーでBARに着いた。
財善(ざいぜん)ビル47階建の最上階。
一面ガラス張り。見晴らしが良く、カップルにはおあつらえ向き。
『カチーーカチカチ』
一歩店内に入った瞬間に耳ではなく、脳でカチカチと振動が響いた。
何だ今のは?
まあいい、俺は美少女とデート中だ。
「ナナちゃん、ここは昼間から営業しているBARですか?」
「カフェ&バーです。ネギモバさん、私よりも年上なんだからタメ口の呼捨てで呼んでください」
「そう、分かった。じゃあ俺のことは栄治と呼んでくれ」
「ぶ ラジャー」
ナナは左の目に指で輪っかをつくりおどけている。了解ってことか。
「よう! ナナ、いらっしゃい」
「また来ちゃった、栄治さん、ここのマスターかっこいいでしょ!」
カウンター越しに立つ男性は確かにイケメンで、鍛えているのか、腕の筋肉が凄い。
「ああそうだね」
やべ、ナナに下心があるせいか、棒読みになっちゃった。
マスター1人でやってるわりには広い。清潔感があってイスやテーブル、内装のセンスも良い。
ナナは慣れた感じでマスターと対面したカウンターに座るから俺も必然的に隣に座る。
「マスター、こちら栄治さんよ」
「よくいらっしゃいました。今年に入って8人目の来店者です。ご贔屓(ひいき)に」
「ハハハ、今8月なのに8人目って、面白いマスターですね。よろしくお願いします」
マスターは真顔で言う。
「8人目ってのは本当です。ナナが連れて来た時点で、栄治さん、あなたは普通じゃないですよ」
「は?」
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