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カクテル世界はパラレルワールドではない。
睡眠中の夢でもない。
人の脳がもつ走馬燈(死ぬ! と確信したときに一生分の人生経験が一瞬で脳を駆け巡る現象)を引き出す。
現在販売されている視界にセットするゲーム機を、その機械を装着せずに人間の脳を利用し、VR(バーチャル リアリティ)を、極限まで引き上げた状態だ。
カクテル世界では、見る・聴く・匂う・触れる・味わうの五感や熱、耳石のもつ平衡感覚や重力も感じ得る。
現実世界と全く同じ。
ゆえにカクテル世界は電話やネット、その他便利な機械と同じで、悪人が使えば悪用もできてしまう。
★カクテル能力者は、出来る事がその経験でさらに成長する。
★熟練すると、1人のカクテル世界に2人、3人と、複数人で入ることも可能。
★複数で入る場合、オペレーターとして千里眼者(神の目線で全てを見渡す)を据え置くことも可能。
・千里眼になった者は、カクテル世界の人とスマホで連絡が出来、危険を知らせたり、要求する品を本人の目視出来ない場所(鞄など)に限り出現させられる。
・千里眼を扱える者は上級者。
・千里眼者は“心”以外なんでも見通せる透視が可能。
【重要】・カクテルの存在を現実世界で他言した者は『脳死』する。
★カクテル世界からの脱出方法は、初期設定はモールス信号SOS(・・・ーーー・・・)。変更も可能で、『現実世界に戻る同意』をする。
・複数人で入った場合、戻るには全員同時が望ましい。
現実世界とカクテル世界では時の幅が30億倍も違うゆえ、カクテル世界から突然人が消えるからだ。
★カクテル世界からは本来『“物質”の持ち帰りは不可』だが、世界に1人だけ、可能にする者を発見した。
それはーー今。
名前は【栄治】
・この基本情報を獲得した者は、能力の応用と向上を目指すがよい。以上。
◆
『カチーーカチカチ』
あ、元の世界に戻った。
カチーン「乾杯~!」
ナナとマスターと俺の3人でカクテルを乾杯した瞬間だった。
本当だ、今の長い情報が、わずか1秒の出来事だ。
「凄い能力者、栄治さんを発掘!! あたしと結婚してください!!」
ナナは左目に親指と人差し指で輪っかをつくり、俺を見ていた。
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