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「このコート、折角気に入ってたのに血まみれなんだ。このままで洗いたいんだけど、何とか出来るかい?」
意地の悪い笑顔で、支配人に要求を出し始めた。
「はぁ? こ、こ、このまま!?」
余りにも予想斜め上の要求に、思わず瞬きをパチパチさせる。
「ソウイウト思ッタノデ、服ヲ着タママ洗エルシャワー室ヲ設ケマシタヨ」
そう言うと、いつの間にか私の真後ろに、新しい扉が出来ていた。色は真っ白で丸窓付きのシンプルな扉。見るからにとてもお洒落だ。
ふと思う。あんな無茶な要求を、涼しい顔で片付けるなんて、全くもって末恐ろしい奴だ。
「やった! 支配人、ありがとう!」
「イエイエ。麗サマノワガママハ全テオ見通シナノデ」
「流石だね。あっ、望!」
「なに?」
突然、私に話をふってきたので、きょとんとした顔で答える。
「先に浴びてきていいよ。僕は支配人と話したいことがあって……」
「うん。分かった」
そう言うと、服ごと画期的に洗えるシャワールームへと向かった。
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