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「ハイ、ソレトデスネ、追加要素ヲ入レテオキマシタ」
「追加要素?」
それを聞いて、嫌な予感しか浮かばなかった。この言い分からして、私にはかなり不利で面倒くさい機能をつけたんだろうな。
「ハイ。新タニボス機能ヲ搭載シトキマシタ!」
「はぁ?」
やっぱりな。嫌な予感が的中してしまい、片手で頭を抱える。
「コレデ益々、『Delete』ガ、イイゲーム二ナッテイクカト思イマシテ!」
「それ、ただこっちが脱出するのに面倒くさくなるだけだよね?」
「マァ、ソレガゲームナンデスヨ!」
間を入れずに、素早くツッコミを入れるが、彼は何事も無いように言い訳をする。
「アップデート、ト称シテ常二更新サレテイキ、ドンドンドンドン面白クナッテイク。今ノゲームハ、ソウイウモノナノデス!」
しまいにはうんちくを言い並べる酷い有様なので、呆れてモノが言えない。一つ溜息を吐いてから、こう言い返す。
「それは、いい機能がつけばの話で、面倒臭いだけの機能はつけられても邪魔なだけ」
「マァ、ソウ言ワレマシテモ……」
「ということで、いつものようにして頂きたい」
「ソレハデキマセンネ」
突然、突き放すように言う。能面の様に変わらずに笑ったまま、というのが頭にくるが。
「え? なんで?」
「モウ、更新シタ後ナノデ」
思わずポカンと口が開いた。
「どういうこ……」
その途端、プツリと画面が消え、辺りは静寂に包まれる。私は余りにも突拍子過ぎて、ただただ呆然とモニターの前に佇むしかできなかった。
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