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そこに彼が爽やかな笑顔でシャワールームから帰ってきた。
「ただいま! お湯が温かくて気持ちよかった!」
「おかえり、良かったね」
私もつられて微笑んだ。
「うん! えっと……」
「どうしたの?」
何かを言いたげそうな素振りを見せていたのでそっと訊ねる。
「支配人と、どんな話をしたの?」
「あぁ、次からは、ボスを倒さなくちゃ脱出できないシステムにしたみたい」
「そうなの?」
「うん」
相槌を返すと、視線を逸し溜息をつく。顔は相変わらず無表情のままだ。
「面倒くさそうだね」
「やっぱり、麗も思う?」
そう聞くと、微笑みながら無言でコクリと頷く。
「だよね!」
「でも僕は、望と離れるのが一番辛いかな」
「えっ?」
それ、どういう意味だ? また突然、笑顔で突拍子もないことを言い出すので、思わず聞き返す。
「あっ! えっとそれは……その! 別に変な意味じゃ……!」
「まぁ、結局は次に行くしかないってことだよね」
「あ。う、うん」
顔を真っ赤にしながら、オドオドとした素振りを見せて答える彼に、何事も無かったように振る舞う。まっ、顔を真っ赤にした時点で察していたけど、敢えて言わないでおこう。
「さて、次はどうなるんだろうね」
「んー、僕も初めて行くところだから、分からないなぁ」
「まっ、とっとと破片者パーツを見つけて鍵見つけて、ボス倒していこう。それしか今は手段がないから」
「でも、さっきみたいな無茶なことはしないでね」
「分かった。ありがとう」
彼は笑顔で言うと、シャワールームの隣にあった青い扉のところへ駆け寄る。
「ここのようだね」
「うん」
「じゃ、行こう!」
「了解」
私達は青い鍵を使い、扉を開けた。
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