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青い扉を開けて中へ入ると、先が見えない程、暗くて長い深緑の廊下が見えた。コンクリート製で走っても軋まなそうだ。まだ建って間もないのかな。とても綺麗に清掃されていて、ゴミが一つも無い。
右側には縁が白く、大きな窓があり、外は何故か真っ暗で星空も見えない。まるで闇の中にポツンと建っているような。そんな錯覚を抱いてしまう。左側は横スライド式の白い扉が2つ。
「ここって、もしかして」
「学校のよう、だね」
私達はそう言うと、辺りをキョロキョロと見渡す。目の前には『2―1』と書かれたプレートが、信号機の様に取り付けられていた。
後ろを振り向くといつの間にか扉は消え、辺りは静寂に包まれた。でも、このお決まりパターンに慣れてきている為か、私自身あまり驚かなくなった。
「学校……」
「どうした?」
「……何でもない」
ふと、その言葉を聞いた時、何かを思い出したかのように呟く。しかし、結局それが何のことか思い出せなかった為、黙り込む。
「そっか」
うん。と軽く頷くと、視線を前に向いて考え込む。
「まっ、まずは破片者を見つけよう!」
「う、うん」
「望?」
「ん?」
静かに頷くが、彼は心配そうな顔をしている。そしておもむろにもう片方のポケットから、白いメモ帳とボールペンを取り出し、私に差し出してきた。
「これ、置いてきたものじゃ……」
「勝手に持ってきちゃった。ごめんね。でも、これで言いたいことは言えるよ」
「ん? どういうこと?」
思わず聞き返す。
「確かにこのゲームのせいで、望は全ての感情を支配人に取られてしまったんだよね。引き換えだとか言われて」
「え! 何でそれを?」
突然そう言われ、また一つため息をつきながら、右手で頭を抱える。彼は淋しげに視線を逸らすが、発する言葉は、一つ一つに重みがある。
「だからね、書いて言葉にしたら、失った感情を形にすることができるんじゃないかな。って考えたんだ」
「感情を、形にする?」
「そうだよ。筆談みたくすれば、ね!」
「そっか」
その手があったのに、何でさっきまで考え込んでいたんだろう。メモを受け取ると同時に早速伝言を書き、上側を破って彼に渡す。
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