第3章 前編

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「望、この部屋、不気味だよ」 「まー、理科室だし、人体模型もあるから不気味なのは当たり前」  真っ青になる彼をよそに、相変わらずつっけんどに答える。 「そうだけど、変なのが出てきそうで正直怖い」 「大丈夫、だと思う」 「思う。って、ちょっと! 望待って!」  全く。行こうと言い出した張本人はこの有り様。こんなの何ともないって。そう思った私は何の躊躇(ためら)いもなく、ズカズカと中へ入る。  しかし、入った途端、余りにも薄暗かったので電気をつけよう思い、扉付近にあったスイッチを押したが、何故か電気がつかない。 「これじゃ、奥まで調べられない」 「そっか。もし、照らせるもの見つけたら、もう一度来ようか」 「うん」  そう頷き、改めて辺りを見渡すと、目の前にあった実験台の上一面に、沢山の物が置かれていた。  三脚と網台のセットで置かれたアルコールランプ、マッチ、スプーン、何故かグラニュー糖、アルミケース、ラップ、爪楊枝、計量カップが未使用のまま。  誰かが何か作って食べようとしたのかな。  そう思っていると、ぐぅっと少しお腹が空いてきてしまった。そういえば、この異空館に来てから何も口にしてない。それに、今の状態で肉類を見ると、あの貯蔵室にあった屍の山を思い出してしまい、食べれなくなる。  なので薄暗い中、マッチを使ってアルコールランプに火を灯し、簡易的な何かを作ることにした。計量カップに少量の水を入れ、グラニュー糖を入れてスプーンでかき混ぜて砂糖水にする。そしたらアルミケースの中にそれらを入れたら、網台に置いて……。
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