第3章 前編

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*  職員室の前に着くと、早速扉の取っ手に手をかけ、横にガラガラと引くとすんなりと開いた。鍵はかかってなかったのかな。助けの通知を送ってきた張本人に会う為、2人で探すことになったが、入って早々、妙な薄暗さと静けさが、職員室中に漂う。  何だろう。電気は落ちて、エアコンなんてつけられる状態でもないはず。なのに、何故か寒気がする。  そう感じていた私の視界に、あるものが飛び込んできた。 「これって、まさか」 「手……だね」  彼が青ざめた顔で呟く。 「あそこに誰かいる!」  私が指を差し、その先へ駆け寄ると、茶髪の少女が一人、うつ伏せになって倒れているのを発見した。  服装は、深緑の制服でブレザーらしき上着を羽織っているが、うつ伏せの為校章が見えない。下はプリーツスカートでお洒落な感じだ。  右手には、刃に血がついた剃刀(カミソリ)、左手には画面が暗いスマートフォンが握られている。 もしかしたら、この人がLIKEに通知をくれた人なのかな。 「大丈夫?」  倒れてる少女に声をかけるが、ビクともしない。 「まずい状況だね。ひとまず血を止めなきゃ」  彼は捲って素肌が見えた左腕を見て、命が危ないと判断したようで、止血できる物を探し始めた。  その腕には、刃物で切った様な無数の傷跡が、痛々しく残っていて、そこの一部からくっきりと鮮血が流れているようだ。傷口からして、まだ新しい。  私は少女が生きているかどうか、確認をする為、首元を触ってみる。するとまだ体温が温かく、右手が微かに動いていた。  生きている! 良かった!  一安堵したと同時に、彼も止血できるものを見つけたようで、慌てて私の元へ駆け寄る。 「望! 見つけたよ!」 「ありがとう! えっと、どうしよう」  どう止めればいいんだ?
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