第3章 前編

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 何故か止血の方法が思い出せない。なので、すかさず彼に助けを求める。 「大丈夫。僕に任せて」  すると、私からバンダナを笑顔で受け取った彼は、三角にして器用に折り畳み始めた。 「え? いいの?」  そう聞くと彼は笑顔でコクリと頷き、慣れた手つきで彼女の体制を変えて止血を始めた。そのせいか、あっという間に傷口がバンダナに覆われ、血が流れてなかったのでひとまずホッとした。 「あとは、この人を連れて、保健室に向かうだけだね」 「そう、ね」  ボソリと呟くが、さっきから何故か、魂が抜かれたかの様に頭がボーッとする。 「望? 顔色、悪いよ」 「そんなこと、ない。私はこれでも平気だから」 「そう。でも、無理はしちゃ駄目だからね」 「はいはい」  それを見かねた麗が心配そうに訊いてきたが、私はそう冷たくあしらう。  でも、ここまで心配してくれるのは、内心嬉しかったけど、かなり照れ臭い。なので冷静を装って考える仕草をする。 「じゃ、保健室に運んどくね」 「ありがとう。あっ!」  ふと、何かを思い出した私は、おもむろに近くを探索し始めた。 「どうした?」 「ちょっと先、行ってて」 「え? 何で?」  バツ印のマスクを着けた少女を抱えながら、不安そうな顔で私を見つめている。 「この辺を少し調べてみるだけ。でも大丈夫。あとで合流するし、あいつが来たとしても、やられないよう、うまく隠れるから」 「んー、分かった。じゃ、先に行ってるね」 「うん」  彼は気乗りしてなかった様だが、少女を抱えたままの行動は難しいと思っていた様で、先に職員室を出て行った。  そして、私はこの場に残って調べることにした。
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