SNOW・HAPPY

8/42
前へ
/42ページ
次へ
「どうした? 福島。俺がなにかしたのか?」  雪人が眉間に小さく皺を寄せて再び聞いてきた。  寿夫は随分酔っている。  当たり前だ。3分の2以上も残っていたバーボンをひとりで空けてしまったのだ。こんな状態で話をしてはいけない、と、頭の片隅ではわかっている。わかってはいるが、寿夫のアルコール漬けになってしまった感情は、僅かの理性では抑えられなくなっていた。 「なにをしたかだって? 白を切るのか」 「白を切る……って……」 「今の今までどこにいたのか、なにをしてきたのか、言ってみろよ」 「なにってバイト……」 「うそつけ!」  寿夫は雪人に掴みかかった。そのまま床に倒れ込む。  タクシーに乗ったふたりが向かった先は、ロイヤルホテルだった。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加