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「うそって……。福島、本当にどうしたんだ? 俺は嘘なんか……」
「黙れ! 黙れよ、今宮!」
雪人の肩をグイと押した。
ごつん、と雪人がフローリングの床に後頭部を打ち付ける音が聞こえた。
「……つ……」
「どうして、どうして本当のことを言わない。なぜ俺に黙ってるんだ!」
「痛い、痛い、福島……」
雪人のシャツを乱暴に引き裂いた。千切れたボタンが弾け飛ぶ。
雪人の名前のように白い肌が露わになる。
肌理の細かいきれいな肌。
いつもなら見惚れてしまうのに、今夜の寿夫は痕跡を捜している。馨が雪人に残しただろう痕跡を。
次いでジーンズに手を掛けた。
「や、やめ……ふくし……まっ……」
雪人がもがく。
たとえ酔っ払っていても、寿夫は雪人より身体も大きいし力も強い。それに今夜は怒りが力を増強させている。
「止めるもんか」
「福島! 酔ってる! 酔い過ぎてるから!」
「酔ってねえよ!」
雪人を押さえつけたまま、あっさりとジーンズを下着ごと引き摺り下ろした。
「いや、いやだ、福島……なんでっ……」
「俺の方が聞きたいよ。なんで今日に限っていやなんだ? いつも、いつだって、お前とは何度も、何十回もこうしてきたじゃないかっ!」
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