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まるで獣のようだ。
馨のものになってしまったのであろうこの身体を取り戻したい。
自分だけのものにしたい。
誰にも触れさせたくない。渡したくない。
失うのが怖い、堪らなく怖い。
繋がっていれば、体を繋げてさえいれば雪人はどこにも行かない。行くことは出来ない。
寿夫は猛り狂った己自身を、傷つけてしまった雪人のそこへと捻じ込んだ。
「ふ、ふぅわぁっ!」
雪人の身体ががくがくと震える。
痛みのせいだ。
寿夫はお構いなしに腰を動かし、あっという間に弾けた。
「う……」
雪人は眉を寄せ苦痛の表情を浮かべ荒い息を吐いている。
「今宮……」
一度吐き出したもののまだ猛りは治まらない。己の吐いたもので雪人の中も程よく湿っている。寿夫は再び腰を動かし始めた。
今度はゆっくりと、深く、抉るように。
「あ……ふ、ふくし……ま……」
息の整わない雪人が再び声を上げた。
寿夫は己の欲深さに深いため息が漏れる。
こんな状況に雪人を陥れていても、気持ち良くなって欲しいと、感じて欲しいと思っている。
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