SNOW・HAPPY

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「ほ、ホテルに行ったのは……?」 「ファミレスや喫茶店で話せるような内容じゃなかったんだ」 「……だからって……」 「花屋敷くらいの立場になると、商談やなんかでホテルの部屋を使うことは、極々普通だそうだ」 「はあ……」  寿夫はすっ惚けた声を出した。気持ちはわかる。雪人にしても馨から行き先を告げられた時には同じような反応だったのだから。 「それで、花屋敷の相談ってのは?」 「それは言えない」 「お、おい……」  馨の相談事は深刻だった。  ファミレスや喫茶店でなく、ホテルの居室を選んだことに初めて納得した。絶対に他人には聞かれたくないだろう。誰かに相談することも躊躇われたのではないかと思う。  それでも馨は相談せずにはいられなかった。そして、馨の側にはいなかったのだ。馨の苦悩を理解し、話を聞いて貰える存在、相談に乗ってくれる人間が。  思い当たったのは雪人だけだった。  皮肉なことにあの時の雪人の無謀な告白が、こんなところで役に立ってくれた。
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