SNOW・HAPPY

26/42
前へ
/42ページ
次へ
「だいたい、俺の体に触れてわからなかったのかよ」 「す、すまないっ!」 「酔ってたんだから仕方ないか。怒ってないよ」 「ほ、ホントに?」 「ちょっと悲しかったけどな……」 「今宮!」  雪人は寿夫を手招きした。  警戒心の強いウサギのように寿夫が近づいてくる。手を伸ばし寿夫の首に抱きついた。 「俺がお前以外の男となにかある訳ないだろ?」 「だっ、だけど……」 「だけどなんだよ」 「俺は……その……、今宮を束縛することは出来ないし、他の男との恋愛をとやかく言える立場じゃないって……」  背中に回された寿夫の手が震えているのがわかる。 「なんで?」 「なんでって、その……俺たちは、その……、お前は……その……」  それはやっぱり体だけの関係だから?  フリーな関係だから?  雪人は体の底から溢れ出てくる感覚に戸惑った。寂しいような苦しいような、切なくて胸がギュッと掴まれる感じ。  束縛されたっていい。とやかく言って貰いたい。  だって……。  雪人は寿夫の首に強くしがみつき耳元に唇を寄せた。 「恥ずかしいから一度しか言わないぞ、よく聞け。俺はお前以外の男とはしない。絶対だ」
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加