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「だいたい、俺の体に触れてわからなかったのかよ」
「す、すまないっ!」
「酔ってたんだから仕方ないか。怒ってないよ」
「ほ、ホントに?」
「ちょっと悲しかったけどな……」
「今宮!」
雪人は寿夫を手招きした。
警戒心の強いウサギのように寿夫が近づいてくる。手を伸ばし寿夫の首に抱きついた。
「俺がお前以外の男となにかある訳ないだろ?」
「だっ、だけど……」
「だけどなんだよ」
「俺は……その……、今宮を束縛することは出来ないし、他の男との恋愛をとやかく言える立場じゃないって……」
背中に回された寿夫の手が震えているのがわかる。
「なんで?」
「なんでって、その……俺たちは、その……、お前は……その……」
それはやっぱり体だけの関係だから?
フリーな関係だから?
雪人は体の底から溢れ出てくる感覚に戸惑った。寂しいような苦しいような、切なくて胸がギュッと掴まれる感じ。
束縛されたっていい。とやかく言って貰いたい。
だって……。
雪人は寿夫の首に強くしがみつき耳元に唇を寄せた。
「恥ずかしいから一度しか言わないぞ、よく聞け。俺はお前以外の男とはしない。絶対だ」
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