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杏奈が立ち上がると同時に洸一も立ち
上がった。出入口まで階段が続いていて、
洸一は杏奈に手を差し出した。杏奈が
洸一の手を取ると一層のざわめきが
起こった。驚いた杏奈は立ち止まった。
「どうしたの?」
「…。」
「妻のエスコートは夫の務め。ほら、早く。」
「待って、ヒールが高いからいつもの
ように歩けない。」
杏奈は洸一の手をギュッと握った。洸一は
彼女を引っ張り上げるように強く握り
返した。
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