真昼のクーデター

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選手通路の出入口で洸一を見送ると、 杏奈は声を掛けられた。 「浜崎さんの奥様ですか。」 声のした方を向くと、それは何度か大学に 取材に訪れた陸上競技専門誌の記者・ 杉崎一也だった。 「あ、杉崎さん。」 「ああ、川村さん、ご無沙汰です。」 「ご無沙汰してます。」 「少しお話を聞かせて頂いて宜しいですか。」 「杉崎さんじゃ拒否できないですね。」 「あれ? メディア嫌いになりましたか。」 「そういう訳じゃありませんけど…。」 歯切れの悪い杏奈に杉崎は何かを感じた のか、 「堂々としてればいいんですよ、川村さん は。あ、違った。」
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