シーン三、小当たり

3/4
前へ
/107ページ
次へ
「ぷくく。アハハッ!」  唐突に天が腹を抱えて笑い出す。  一体なにがあったというのか。この場にいる誰もが分らなかった。 「どうしたんです。葵のなにかが変でしょうか?」  一本毛が不思議そうに左右に揺れる。  ナニ平の誇りだ。 「これが笑わずいられるかっての。さっき葵がパパさんって言っただろう」 「言ったわよ。だってパパさんだもの。なにがおかしいの?」  今度は葵がまったく分らないと口を挟む。  それでも笑い続ける天。 「お前らが親子なんて考えられない。愛人ってのも無理がある。だから思ったんだ」  確かに葵はパパさんと言った。  しかし目の前にいる二人が親子だとは考えにくい。ナニ平はふて腐れた寅さん。葵はクールビューティな美妖女。ヤヴァイ位激烈に遺伝子を弄くり倒してもナニ平の子供としての葵は考えられない。無論、愛人などとは考えにくい。  では天が辿り着いた結論とは……。 「葵。おみゃさん、実はアンドロイドだな。おっさんが作ったロボットって事だ」  得意満面な天。 「はあ?」  自分の聞き間違いかと耳をほじって考えるナニ平。 「あんた、意味分んないし」  相変わらず冷たい目つきで見下ろす葵。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加