シーン三、小当たり

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 しかしながら本当はおっさんが理想を体現したんだなと付け加えたかった天。10歳前後に見える葵がナニ平の理想。だからこそ笑いが堪えられなかったのだ。  ナニ平はロリポップ。  ロボコップ。  しかしながらロリコンとハッキリと言ってしまえば18禁問題は言うまでもない。加えておっさんの趣味がヤヴァイ懸念を生んでお空高くに御座す神(PTA)が激昂する。逆鱗に触れればあの世行き決定。この世界の存亡の危機なのだ。  嗚呼、ごめんなさい。  申し訳なし。 「アホが。そんな分けないでしょ。葵ちゃんは赤い血が流れる人間よ」  と、どこから取り出したのか重そうな金槌で天の頭を殴る。5tと書かれたハンマー。ヴェム、ヴェラ、ヴェロと立て続けに金属音に似たかん高い音が響き渡る。 「は、早く人間になりたいィィィ」  右手を前方へと伸ばし、くぱくぱと開いたり閉じたりする天。  どうやら変な知識しかない天の脳はスカスカで中身が空洞らしい。殴られた衝撃で目玉が上から下へと流れてそのまま一回転してまた上から下へと流れる。そうしてからある程度回ったあと右黒目がど真ん中で止まる。続いて左黒目も止まる。  星。  ……お星さま。  ち、小当たりかよと口からちろっと赤い舌を出して派手な音を立てて倒れる天。泡が口から溢れているのは誰にも秘密だ。成敗と右手を拳にして小さくガッツポーズな葵。一部始終を見ていたナニ平は大口を開けてあ然としていた。  これがチートな足を持つ運び屋少年とキレもの幼女の出会いだった。 「つうか金槌なんて反則じゃねえ? マジかよ……」 「うっさいわ。大人しく死んでなさい」  チーン。
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