シーン四、ヒーロー

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 そんな言葉を聞いて天真爛漫に歯を見せて笑う天。 「だろ。だから言っただろうが」  と得意満面。 「いいでしょう。今回の仕事は君に頼みましょう。大丈夫でしょうか?」 「パパさんッ!」  葵がどうにも納得できないでいる。 「俺は葦田天(あしだ てん)だ。天でいい。聞くまでもねえよ。いいぜ。じゃ、まず仕事の内容を聞かせてもらおうか。格好悪い仕事じゃない事を祈るぜ」  と右目をつむる天。  勝ち誇ったように鼻息を荒くして葵を見据える。 「そうですね。君は自分が納得する仕事しかしない。格好悪い仕事はごめんだと言っていましたね。その意味で言えば今回の仕事はむしろヒーローが請け負うべき仕事だ」  ヒーローと聞いて嬉しそうな天。  天くらいの少年ならばヒーローは憧れの的なのであろう。いや、むしろ目指すべき目標なのかもしれない。少なくとも天は格好いいに異常な執着を示している。ゆえにナニ平は敢えてヒーローという単語を織り交ぜたのかもしれない。  後々、明かされるがナニ平の職業が敢えてヒーローと言わせたのかもしれない。  なんにせよ、今回の仕事は天のメガネにかなうものだった。  満足そうに笑い続きを待つ天。 「愛娘を指定場所まで連れていって欲しいんです。安全、且つ、迅速にです」  …――無論、葵は命を狙われていますが。  とナニ平は敢えて言葉を飲み込み、天に仕事の依頼をした。
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