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そんな言葉を聞いて天真爛漫に歯を見せて笑う天。
「だろ。だから言っただろうが」
と得意満面。
「いいでしょう。今回の仕事は君に頼みましょう。大丈夫でしょうか?」
「パパさんッ!」
葵がどうにも納得できないでいる。
「俺は葦田天(あしだ てん)だ。天でいい。聞くまでもねえよ。いいぜ。じゃ、まず仕事の内容を聞かせてもらおうか。格好悪い仕事じゃない事を祈るぜ」
と右目をつむる天。
勝ち誇ったように鼻息を荒くして葵を見据える。
「そうですね。君は自分が納得する仕事しかしない。格好悪い仕事はごめんだと言っていましたね。その意味で言えば今回の仕事はむしろヒーローが請け負うべき仕事だ」
ヒーローと聞いて嬉しそうな天。
天くらいの少年ならばヒーローは憧れの的なのであろう。いや、むしろ目指すべき目標なのかもしれない。少なくとも天は格好いいに異常な執着を示している。ゆえにナニ平は敢えてヒーローという単語を織り交ぜたのかもしれない。
後々、明かされるがナニ平の職業が敢えてヒーローと言わせたのかもしれない。
なんにせよ、今回の仕事は天のメガネにかなうものだった。
満足そうに笑い続きを待つ天。
「愛娘を指定場所まで連れていって欲しいんです。安全、且つ、迅速にです」
…――無論、葵は命を狙われていますが。
とナニ平は敢えて言葉を飲み込み、天に仕事の依頼をした。
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