シーン一、格好いい男登場

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「へっ? そうじゃなくて……」  両目をつむる天。 「クククッ。絵になる男、葦田天様はただのガキじゃねえぜ。いいだろう。教えてやんぜ。あんた、拳銃を持ってるかい。拳銃だ。持ってるなら出せ」 「いやいや、そうじゃなくて、僕の話を……」 「違うだと。そうかッ!」  天がなにかに気づいたように片目を開けてから、ふんぞり返る。 「分かったぜ。そういう事か。早く言えよ」  聞いてもらえると安堵する依頼人。  思いを吐き始める。 「今言おうとしたんですが……」 「そうだ、俺はイケメンだ。しかも絶世の美少年。嗚呼、格好良すぎて自分が怖い」  怖いな、ある意味。  と、天と依頼人の間に気まずく寒い空気がどろどろと流れ込む。  亜空間。  いわゆる不思議時空。色即是空。 「あ、あの。チャック開いてますよ。全開です。それはもう清々しい位に……」  途端、石になる天。  固まって張り付いた顔が湯気を上げて真っ赤になる。 「ば、馬鹿。早く言えっての。……そそ、そうだな。俺は格好悪い事はしない」  慌ててチャックを締めて誤魔化す天。  格好悪すぎる。 「……格好悪い事はしないですか。大丈夫かな、この人」  と依頼人が呆れ気味に言った。
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