シーン二、期待はずれ

4/4
前へ
/107ページ
次へ
 指さす先には力なく転がり落ちた弾丸があった。  弾丸?  何故、撃った弾が彼の足元に力なく転がっているんだ。  とナニ平は心中で独白した。至極当然の疑問だ。普通ならば弾丸はコンクリートの地面に跳弾して海の藻屑と消えるか、もしくはぶっ込んで天馬となって夜空を翔るか。  それが何故? 「分からないって顔だな。説明が必要か?」  傲慢極まりない顔で言う天。  厭らしい笑み。 「ええ。是非とも説明をお願い致します。一体今ここでなにがあったと言うんですか?」  しかしながらいまだに信じられないナニ平は素直に天に従った。  突如、横やりが入る。  アニメヒロインの声優を想起させる謳い弾む甘い声。 「単純明快。ゴットゴットで御利益がなさそうなピラミッドパワーだわさ」 「あ、葵……、お前」  とナニ平が運転してきたウォークスルーバンの荷台を見つめた。  視線の先にはドアを開け放った幼女がいた。  泰然自若とした美幼女が。  いや、美妖女が。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加