第一部 第一章

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第一部 第一章

Prologue  1  世界の果てという場所があるならば、このような場所のことを言うのだろう。  だが、ここは誰も到達したことのない大地の端でなければ、光もとどかない地底でもなく、また雲の上に浮かぶ大国でもない。  ここは森だ。  大抵の人が安易に想像できるそれと何ら変わりはないと思う。  ただし、あることを除いたら。  漆黒の闇が支配する夜の森。足元に転がっているランタンの明かりが、辺りの光景を鮮明に映し出した。  今、俺の目に飛び込んでくるのは赤い液体、ちぎれた布切れ、冷たい肉。  それらは人間を構成していたものたち。  ここは生と死の境界が曖昧な場所。自分の認知している世界が、終わりを告げようとしている場所。  つまり、ここは俺にとって世界の果てだった。
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