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じいさんの期待した眼差しは、俺の推測が当たっていることを証明していた。
なんで害獣やらへんな種族がいるところに、俺がいかなきゃならないんだよ。
嫌だ。
何とかして、話の方向性を変える必要がある。
「いや、害獣がいるとなれば準備が足りない。俺一人じゃ何も」
まずい、それでは俺が無能であるといっているようなものだ。
「つまり、害獣を下手に刺激したくない。そうすることによって、この牧場が襲われる可能性もでてくるのです。だから、慎重に事を運ぶのが好ましい。そのためにノアに冒険者の派遣を依頼しなくてはいけないのです」
俺はまるで熱血な講演を行う講演者のような口調で言った。
熱のこもった力強いその言葉は、すでに口から放たれてしまった。
俺は言葉が放たれてから数秒して、その言葉が自分のことを自分で叩く言葉であると気づいた。
「あなたはそのノアの派遣した冒険者なのでは?」
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