第一部 第三章

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 一体何度その言葉を口にしたのだろう?     何度言っても、状況は何も変わら ないというのに。    だが、何かに文句をつけて気を紛らわさないと、やっていけないときもある。     体から吹き出た汗は衣類に染み込み、体を動かすたびにそれが再び体にふれ、これ以上に無い不快な感覚を与えてくれる。    背中に担いでいる重いリュックサックは、一歩踏み出すごとに微妙にゆれ、体との接点に万力のように強い力を与える。  「もう少し、荷物を減らしてきてもよかったな」    害獣という言葉に恐怖した俺は、食料品、回復薬、登山具などから、ナイフ、ボーガンなどの武器までをバックに詰められるだけ詰めてきたのだった。    俺は一旦立ち止まると小さくて長いため息をついた。最小限の持ち物だけで、冒険に挑むことが出来る。  それもいい冒険者の条件だ。俺は相変わらずだな。  俺は進行方向に視線を戻した。相変わらず道は続いている。  「一体、後どれくらいなんだ?」    じいさんが言っていた迂回コース三合目までは、牧場から歩いて約三時間とのこと。    俺は数分前に一度合目の標識を目にしたばかりだった。    単純に考えて、まだ半分にも達していないということだ。    道は比較的緩やかで、人の手によって整備されている。
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