第一部 第三章

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 泣いてしまいたいほど、気持ちが落ち込む。  「なんで俺がこんなことをしなくてはいけないんだ?」    一体誰が悪い? ティモルじいさんが悪い。  これは俺がやるべき仕事ではない。  俺の仕事は羊の毛刈りだろう? 絶対に特別料金を要求してやる。  くそじじいめ!  いや、違う! もっと悪いやつがいた。  レネだ。  あいつがもっと物分りのいいやつなら、害獣のいる山に行くことなんてないのに。  確かレネは十四歳。それくらいならもうわかるだろうに。  山で行方不明になることが何を意味するのかを。  俺は水筒の水を一気に流し込んだ。  だが、すぐに喉に違和感を感じて、口に含んだ水を吐き出した。  太陽の熱により、水が温められ飲み物として最も不快な温度へ上昇していた。  俺は意味の成さない言葉を大声で叫んだ。  街中で行ったら、周りにいる人間に哀れな目で見られるか、警備隊をよばれる行動だ。  しかし、そうでもしないとこの怒りを静めることはできなかった。  いや、少し冷静になって考えると、大声で叫んでも何も変わらない。  そう悟ると、とても悲しい気分になった。
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