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泣いてしまいたいほど、気持ちが落ち込む。
「なんで俺がこんなことをしなくてはいけないんだ?」
一体誰が悪い? ティモルじいさんが悪い。
これは俺がやるべき仕事ではない。
俺の仕事は羊の毛刈りだろう? 絶対に特別料金を要求してやる。
くそじじいめ!
いや、違う! もっと悪いやつがいた。
レネだ。
あいつがもっと物分りのいいやつなら、害獣のいる山に行くことなんてないのに。
確かレネは十四歳。それくらいならもうわかるだろうに。
山で行方不明になることが何を意味するのかを。
俺は水筒の水を一気に流し込んだ。
だが、すぐに喉に違和感を感じて、口に含んだ水を吐き出した。
太陽の熱により、水が温められ飲み物として最も不快な温度へ上昇していた。
俺は意味の成さない言葉を大声で叫んだ。
街中で行ったら、周りにいる人間に哀れな目で見られるか、警備隊をよばれる行動だ。
しかし、そうでもしないとこの怒りを静めることはできなかった。
いや、少し冷静になって考えると、大声で叫んでも何も変わらない。
そう悟ると、とても悲しい気分になった。
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