第一部 第三章

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 マリはそういって俺の方を見つめた。今までのマリにはない表情だった。不安と期待が入り混じったようなそんな表情。  「大丈夫。何とか……」    何とかする。どうしても、そう言えなかった。自分のことすら、上手くこなせない俺が、他人のために何かをしようなんて。  「ねぇ? ロピ? どうして私がこんな話をしたのかわかる?」  「え? いや」  「ロピはロープの意味を理解して、先に進まなかった。節度があって、頭はいいんだなって思うよ。でも、そんなことどうでもいいんだ」  「え? どういうこと?」  「さぁ、もう休憩はいいでしょう?」    マリはそういうと立ち上り、先へと進んでいった。
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