第一部 第四章

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 こんなことを言うと、親から与えられた才能だけで生きてきたと思われるかもしれない。  だが、そうではなかったと思う。  自分で言うのは少し恥ずかしいが、俺は自分の能力を向上させるための努力を惜しまなかった。  大学に入るためにたくさん勉強し、何十倍もの競争率を勝ち抜いた。入ってからも勉学の手を緩めなかった。  だからこそ、自分の持っているすべての良いものが、ゆるぎないものであると思っていた。  目の前には常に光にあふれた道しか存在しないと思っていた。  何か小さな困難を乗り越えるたびに、世界は自分を中心に動いているという錯覚さえ感じていた。  しかし、それがあの日に一瞬で砕け散った。    あの日もいつもと何も変わらない一日。夏の訪れを感じさせるような強い日差しの日だった。    あの日、何も知らなかった俺は講義が終わった後、図書館で数時間勉強をして帰路についた。  帰り道では迫り来る進学試験を杞憂していたかもしれない。  あるいは休日の過ごし方に胸をおどらせていたのかもしれない。何もかもがいつもと同じだった。    だが、あの日、家に着くといつもと様子が違うことはすぐにわかった。    家の周りにたくさんの人だかりがあった。
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