第一部 第四章

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 俺はビンを目の高さまで持ち上げ、もう一度よく観察した。  だが、何度見ても空っぽのビンだ。それとも、人間の目では見えないものが入っているのか?  または気体でも入っているのだろうか?   いや、でもそうだとしたら、ビンの口を割って中のものを取り出そうとしたら、その瞬間に中身が消えてしまう。  特別な取り出し方があるのだろうか?  「マリ? これをくれた人は、中身について何か言っていたのか?」  「うーん。価値のあるものとしか言っていなかったような……あぁ、それと、私がどうしようもないくらいに困ったときに、これを使えって言ってた。決して、それ以外で使ってはいけないって」  「困ったときってどんなときだ?」  「さぁ? 私達にはまだ必要ないからね。それに使い方も分からないしね。こんなもの。でも、ロピならお金に換えることができるんじゃないの……ああ! もしかして、今私これを使っているのかな? 困難を冒険者に依頼することによって、解決しようとしているのかな?」    どこかすっきりとしないものがあったが、貰っておいて損は無い。大きなものでもないからな。  町に戻って、鑑定士の所に持っていけば何か分かるかもしれない。まぁ、本当に価値があるものだったら、  運がよかったということでいいだろう。    俺の顔からいつの間にか笑みがこぼれていた。  「そうか、ありがとう。貰っておくよ。しかし、一体誰がこんなものをくれたんだ」    俺はバックの中にそのビンをしまうと、視線を沼へと移した。  「それはねぇ」    マリが、そういいかけた時、俺は沼を隔てた向こう側で起こった変化を捉えた。  小さな光。それとほぼ同時に耳をつんざくような大きな音は、湖の水面をざわつかせる。  それは魔法具によるものではない。  あまりに予想外のものだった。  銃声だ。
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