ある秋の日

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 そして、首を傾けると、白いシーツがピンと張ったベットが並んでいた。 「…君、起きた?」  そこには保健医の先生が居た。 「頭痛くはない? ちょっと内出血しているから、帰ったら病院で精密検査受けるのよぉ」 「ここは?」 「ここは保健室よ。はい、痛み止めとお水ね」  そう言って2粒の錠剤を渡される。それを飲んでコップを受け取り水で流し込む。 「もぅ、先生びっくりしちゃったよ。あれだったらサッカー出ればよかったね」  僕の無事なのを見て気が緩んだのか、先生は笑いながら冗談めいた事を言った。  その優しい笑いに少しドキリとしたが、それは別な話として・・・ 「ははっ、何がなんだか」  僕の左手の指はぺちゃんこになんてなってなかった。  覚えれないのは無理もない、知らないことを夢で覚えるなんて無理なのだから。  僕の長い長い夢は、正夢になんてしちゃいけない。  もうあんな失敗はこりごりだ。将来がどうあれ、学べるうちに、覚えられるうちにできるだけ勉強しよう。
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