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パブロはズボンに挟み込んでいた自動拳銃をゆっくりと抜くと、テーブルの手前右側に置いた。
「銃はテーブルの上、こうやってお互い見える位置に置いておこう。そうしておいたほうが、俺もあんたも安心して話せる。だろ?」
「承知した」
女はそう言ってスーツの上着の裏側から小型のリボルバーを取り出すと、パブロと同じようにテーブルの上、右手で取りやすい位置に置いた。
それを確認してから、パブロはテーブルにつく。
……まずは上手く誘導できた。こう言っておけば、お互いにフェアな条件であると相手は勝手に思ってくれる。……それが大きな過ちであることも気づかずに。
それに、もしものときに備えて“保険”もかけてある。これで何も心配することはない。
……しかし、なんだ。この嫌な感じは? この女はどこか不気味だ。……不気味だと? ……恐れているのか、この俺が? こんな小娘を?
「ふふ……そんなわけはない」
「なにか?」
思わず声が漏れてしまった。パブロは小さく笑う。
「いいや。なんでも」
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