第一章――――狩猟

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 カザマが扉を開け中央廊下に出ると、ちょうど左側の通路から男が一人飛び出してきたところだった。 「だ、誰だてめぇ!?」  男は持っていた自動拳銃をカザマへ向けて構える。カザマは余裕の表情で返した。 「悪いけど、三階から上は私の担当でね。下へは行かせないわよ」 「下のやつの仲間か!? くそっ……!」  男が右手に持った銃を発砲――カザマはそれを、前屈みになって回避する。そのまま一気に男への距離を詰めると、相手の右手首を左手で掴んだ。続いて右手で逆手に握った得物を、相手の右前腕部へと突き刺す。  人体を裂き、貫き、抉るのに特化する、屈曲した刃を持つ武器――大型のカランビットナイフが、カザマの得意とする道具だった。 「あっ……がぁっ!」  男の悲鳴。カザマは瞬時にナイフを前腕から引き抜くと、今度は男の首筋を刺突。喉から発せられた悲鳴は一瞬で止まり、代わりに鮮血が噴き出す。男はふらふらと欄干の上に突っ伏すように倒れ、銃はフロア下へ落下した。
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