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右手に構えた45口径の自動拳銃――デトニクス・コンバットマスターを長髪の男の口腔内に押し込んだまま、ナツメは廊下を前進する。男もそれに合わせて後退した。
「ら……らんらんら(なんなんだ)、おふぁえ(おまえ)……」
「俺? そうだな……地獄の使者、ってとこ? 冥土(メイド)だけに。いひひ」
ナツメは笑うが、一方男は恐怖に睫毛を震わせる。
「あれ、面白くなかった?」
「ひ、いえ……」
「ふーん……」
ナツメの冷たい視線に、男は怯えたような声を出す。ナツメはそれを馬鹿にしたように笑い、
「ま、いいや。お前らさぁ、ちょっと暴れすぎなんだよ。バカだねー、まったく。お前らが余計なことしなけりゃ、俺もこんなめんどくせぇことしなくて済んだのに」
そこでナツメは顎をしゃくって奥を指し示す。
「扉開けてくれる、おにーさん? あ、ゆっくりお願いね。急に動かれると、びっくりして引き金引いちゃうかもだから」
「あ、あふっは(わかった)……」
男は慎重な動きで、後ろ手にリビングへの扉のノブを掴み、開いた。
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