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――躊躇のない、研鑽された技術と経験から行われる殺戮。ほんの数秒のうちに四人を殺したナツメは、頭のカチューシャとカツラを鬱陶しそうに外し床へ投げ捨てた。長い横髪を手ぐしで簡単に整えてから、足下にうずくまっていた長髪の男の頭を蹴る。
「喜べよ。お前は生かしておいてやる。色々訊くこともあるからな」
「こ、こんな……」
穴が開き、どくどくと血を垂れ流す左頬を押さえながら、長髪は言う。
「こんな真似して、ただで済むと思ってんのか……! 銃声を聞いた仲間が大勢、すぐにやってくる。お前一人なんか簡単に……」
「俺一人なんか簡単に殺せるって? ハッ、甘いんだよなぁ」
ナツメは嘲笑する。
「お前さぁ、ほんとに俺一人で来てると思ったワケ?」
「え……?」
「――ま、お前らなんて俺一人でもラクショーだったけどさ」
ナツメはチョーカーの内側に隠していた咽喉装着型の無線マイクを手で押さえて、通信する。
「こちらナツメー。103号室は押さえたから、カザマ、上のほうはよろしくー」
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