128人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
――ナツメが103号室を制圧したのと同じ時間。アパート内、三階の階段の陰に、スーツ姿の男が屈んで身を隠していた。
男のコードネームは「カザマ」。筋肉質な身体つきをしているが、顔立ちはホスト風の優男というところ。両耳にはピアスまで付けている。
カザマは左眼を片手で覆いつつ、もう片方の手で首元のマイクを押さえ、話していた。
「――こちらカザマ。了解。下のほうは頼んだわよ。手抜かりないようにね、ナツメ。アンタは遊ぶ癖があるから」
『はいはい。わかってますよー』
右耳の無線イヤホンから鬱陶しそうな声が返ってくる。カザマは「やれやれ」、と肩をすくめた。
最初のコメントを投稿しよう!