第一章――――狩猟

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「ああああああああッ!」   カザマの後方から、もう一人の男が現れ襲いかかってくる。振り返り見ると、男の右手には、中南米で広く普及している大型の鉈(なた)――すなわちマチェットが握られていた。  男が右手のマチェットを振り上げるのに合わせて、カザマはその懐へ潜り込む。その動きの俊敏さに、男はまったく反応できない。  カザマは逆手に構えたナイフで右から男の腹を一閃――戻す動作に合わせて手首を返し、左膝を刺し抉った。    膝へのダメージで男は体勢を崩す。男が膝をつく直前にカザマは左手で相手の顎を押さえ込んだ。男は為す術なく仰向けに倒れ込む。  そのとき、後方の通路から新手が出てくるのをカザマは視界の端に捉えた。今度は二人。一人は大振りのサバイバルナイフ、もう一人は金属バット。もたつく暇はなさそうだ。  仰向けに倒した男の首にナイフを突き入れ、トドメを刺した。すかさず後ろの二人が襲いかかってくる。
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