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三人とは別に、一人はリビングのソファに座って携帯ゲームをしていた。ガタイの良い長髪の男だ。長髪はゲーム画面から顔を上げ、「ふーっ」と一息つく。鼻炎のために赤くなった鼻を手でこすってから、
「よぉーし、やっと敵将の前まで辿り着いたぜ。――おい、なんか飲み物取ってくれ」
ソファ横のキッチンでカップラーメンを食べていた口髭の男へ向かって言う。口髭は不機嫌そうに返した。
「そんくれー自分で取れよバカ」
「お前が一番冷蔵庫に近いじゃねーか。俺はここのボスを倒すので忙しいんだよ」
「おー。じゃ、俺の分も頼む。ビールでいいぜ」
隅にいる三人のうち一人が便乗して口髭へ言った。
「チッ……なんで俺が……」
口髭は不満そうにしながらも箸を置いて椅子から立ち上がり、冷蔵庫へ向かう。部屋のチャイムが鳴らされたのは、そのときだった。
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