第二章――――銃声

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 神楽は写真を見つつ言う。 「確認だ、イズミ。これらの写真には電話の類は写っていないようだが?」 「はい。固定電話はなく、青鷺に連絡を取ったのも天城の携帯電話からだと判明していますが、現場からは見つかっていません。おそらく秋水が持ち去ったか、どこかへ破棄したのかと。……なぜ、そんなことをしたのかはわかりませんが」 「……他に、遺留品の類は?」 「衣服の他に天城が所持していたものは特にありません。財布は写真に写っているようにテーブルに置かれてありますし、鍵も玄関側にある棚の上から見つかっています」 「本人は何も持っていなかったのか?」 「はい。家の中で殺されたわけですから、それでも特におかしくはないかと」 「なるほど……」  神楽は手元の写真をめくりながら質問を続ける。 「……殺されたのは天城という男に間違いないんだな?」 「それは間違いありません。私も奴の顔や声はよく知っています。死体を発見した青鷺を含め、部下たちにも確認させましたが、あの死体が別人の替え玉ということはあり得ません」 「では、電話の声も本人のものだと断言できるか?」 「音声のみでは断言までは出来かねますが……死体と同じで、あの留守電についても天城、秋水両名とも本人の声だろうということは複数の部下によって確認させています。ほぼ間違いないと言ってよいかと」 「ふむ……」  神楽は顎を指先でなぞるように動かしながら考え込む。
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